訪問介護とは?施設介護との違いを現役介護士がわかりやすく解説|訪問ならではの大変さとは

はじめに

介護の仕事と聞くと、老人ホームや特別養護老人ホームなどの「施設介護」を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。

しかし、介護の仕事にはもう一つ重要な働き方があります。

それが訪問介護です。

訪問介護は、介護職員が利用者さんの自宅へ訪問し、必要な介護サービスを提供する仕事です。

施設介護とは仕事内容も働き方も大きく違います。

「訪問介護のほうが楽そう」

「一人で仕事ができるから人間関係も楽そう」

そんなイメージを持つ人もいるかもしれません。

確かに訪問介護には施設介護にはない魅力があります。

しかし、実際に働いてみると、訪問介護ならではの大変さもあります。

今回は、訪問介護とはどのような仕事なのか、施設介護との違い、そして訪問介護で特に大変な「移動」について、現場目線で紹介します。


訪問介護とは?

訪問介護とは、介護職員が利用者さんの自宅を訪問し、日常生活をサポートするサービスです。

大きく分けると、

  • 身体介護
  • 生活援助

があります。

身体介護では、食事介助、排泄介助、入浴介助、着替え、移乗などを行います。

生活援助では、掃除、洗濯、買い物、調理など、利用者さんが自宅で生活するために必要な支援を行います。

施設介護と大きく違うのは、利用者さんが暮らしている「自宅」が仕事の場所になることです。


施設介護との大きな違い

施設介護では、基本的に一つの施設内で複数の利用者さんを担当します。

職員も同じ場所にいるため、分からないことがあれば、

「ちょっと手伝ってください」

「この場合どうすればいいですか?」

と、すぐに他の職員に相談できます。

一方、訪問介護では、利用者さんの自宅に一人で訪問するケースが多くなります。

そのため、現場での判断力が求められます。

もちろん、困ったときには事業所へ連絡して相談できますが、施設のようにすぐ隣に同僚がいるわけではありません。

この違いはかなり大きいものです。


訪問介護のメリット

1.利用者さんとじっくり向き合える

施設では多くの利用者さんを担当するため、一人ひとりとゆっくり話す時間を作るのが難しいことがあります。

訪問介護では、一人の利用者さんに決められた時間を使ってサービスを提供します。

そのため、

「この人は何を大切にしているのか」

「どんな生活をしてきたのか」

など、その人の生活に寄り添った介護がしやすいという魅力があります。


2.一人で仕事をする時間が多い

職員同士の人間関係に疲れている人にとっては、訪問介護は魅力的な働き方かもしれません。

利用者さんの自宅では基本的に一人でサービスを提供するため、施設のように常に職員同士で顔を合わせる必要がありません。

もちろん、事業所での人間関係がなくなるわけではありません。

それでも「職員同士の人間関係が苦手」という人には、一つの選択肢になります。


訪問介護の大変なところ

1.とにかく「移動」がある

訪問介護ならではの大変さとして、忘れてはいけないのが移動です。

施設介護の場合、基本的には施設の中で仕事が完結します。

しかし訪問介護では、

「次は○○さんのお宅へ」

と、利用者さんの自宅から次の自宅へ移動しなければなりません。

自転車、バイク、車、徒歩など、事業所によって移動手段は異なります。

この移動が、実はかなりの負担になることがあります。


夏場の訪問は本当に大変

特に大変なのが夏です。

炎天下の中、自転車や徒歩で利用者さんのお宅へ向かう。

これだけでも体力を消耗します。

訪問先に到着した時点で汗だく。

そこから身体介護を行うことになります。

一件終わったら、また外へ出て次の利用者さん宅へ。

これを一日に何度も繰り返します。

施設の中なら冷房の効いた環境で次の仕事を待つことができますが、訪問介護では外を移動しなければなりません。

特に近年の夏は非常に暑く、熱中症への注意も欠かせません。

水分補給や休憩を意識しながら働く必要があります。


雨の日や天候不良の日も大変

訪問介護の移動で大変なのは、夏だけではありません。

雨の日も大変です。

自転車で移動する場合、雨具を着ていても濡れることがあります。

荷物や介護用品を持って移動する場合には、さらに大変です。

強い風の日には自転車の運転にも注意が必要です。

雪の日や台風など、天候が悪い日は移動そのものが危険になることもあります。

それでも利用者さんの生活は続いています。

訪問介護では、「今日は天気が悪いから仕事を休もう」というわけにはいかない場合もあるのです。

もちろん、安全が最優先です。

事業所の判断やルールに従い、危険がある場合には無理をしないことが重要です。


2.利用者さんの「生活空間」に入る難しさ

訪問介護では、利用者さんの自宅に入って仕事をします。

これは施設介護にはない特徴です。

自宅は利用者さんにとって、長年暮らしてきた大切な場所です。

そのため、

「ここはこうしてほしい」

「これは触らないでほしい」

など、それぞれのこだわりがあります。

施設のルールではなく、利用者さんの生活習慣を尊重しながらサービスを提供する必要があります。

介護技術だけではなく、コミュニケーション能力も重要になる仕事です。


3.一人で判断しなければならない場面がある

訪問先で、

「今日はいつもと様子が違う」

「体調が悪そう」

「予定していたサービスができない」

といったことが起きる場合があります。

施設ならすぐに他の職員に相談できますが、訪問先では自分一人というケースがあります。

もちろん事業所へ連絡して相談することが大切ですが、状況を観察し、正確に伝える力も必要です。

そのため、訪問介護では経験や判断力が非常に重要になります。


訪問介護と施設介護、どちらが向いている?

どちらが良いということではありません。

人によって向き不向きがあります。

訪問介護が向いている人

  • 一人で仕事をするのが好き
  • 利用者さんとじっくり関わりたい
  • 臨機応変な対応ができる
  • 移動が苦にならない
  • 利用者さんの生活を尊重した介護をしたい

施設介護が向いている人

  • チームで仕事をするのが好き
  • すぐに相談できる環境が安心
  • 多くの利用者さんと関わりたい
  • 介護技術を幅広く経験したい
  • 一つの場所で働きたい

もちろん、これはあくまで目安です。

実際に働いてみないと分からないこともたくさんあります。


まとめ|訪問介護は「移動」も仕事の一部

訪問介護は、利用者さんの住み慣れた自宅で、その人らしい生活を支える大切な仕事です。

施設介護とは違い、一人ひとりの生活に深く寄り添えることが大きな魅力です。

一方で、

「移動も仕事の一部」

ということは忘れてはいけません。

特に夏場の暑い時期、雨の日、強風の日などは、利用者さんのお宅に到着するだけでも体力を使います。

そして、到着してから身体介護や生活援助を行います。

訪問介護は、決して「一人でできるから楽な仕事」ではありません。

移動、天候、利用者さんの生活環境、急な体調変化など、訪問介護ならではの大変さがあります。

それでも、利用者さんから、

「来てくれてありがとう」

「あなたが来てくれると安心する」

と言ってもらえたときには、大きなやりがいを感じられる仕事です。

介護には、施設介護だけではなく、訪問介護という選択肢があります。

「施設で働くのが合わない」と感じている人も、訪問介護を経験してみると、自分に合った働き方が見つかるかもしれません。

大切なのは、自分に合った介護の働き方を見つけること。

介護リアル脱出ノートでは、これからも施設介護だけではなく、訪問介護など、さまざまな介護の現場について「現場で働く人だからこそ分かるリアル」を発信していきます。

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